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フォースアビリティの能力値をはかる機械がある。
最近ではその機械のシステムを応用し、能力値をはかるためのスコープを作っているらしい。
「ここが、警察内特別機関、サンクリーだ。」
「ほぇぇ~」
明道は感嘆の声を上げた。
「でも…いいんですか?勝手に学校抜け出して。」
水戸がいった。
「大丈夫、校長に許可はとってきてある。」
どうやら大丈夫なようだが、
おそらくは脅迫と同じ手口だろう。相葉は能力的にも優秀なので、やめさせる訳にはいかないのである。
「さっそく行くか?」
「はい!」
全員がいった。
「待っていたぞ、相葉。」
そういったのは、相葉の友人で、サンクリーの制服を着ている、前髪がものすごく長い男である。
「おう、久々だな、斎藤。」
彼の名前は斎藤盈(さいとうみつる)。相葉と同じ世代の学校卒業者だ。
「何年ぶりだ?結構経ったと思うが。」
「お前は相変わらず根暗そうだな。」
「性格はそう簡単にはかわらんさ。それより、お前は今教師をしているらしいな…そいつらが教え子…という訳か。」
「ま、そんなところだ。」
「学校時代お前はいろいろやらかして…」
「そんなことはあとだあと。フォースサーチャーを使わせてくれ。」
「今日はそれが目当てか…よし、いいだろう。」
――
フォースサーチャーを見た10人は、その大きさに圧倒された。
「でっか」
「何よこれ…」
「おおきい…」
「でかすぎだろいくらなんでも…」
などなど。
「さあ順番にやってみろ。」
「じゃあ俺いきます。」
そういったのは北山。
「先生、私たちくらいの年齢って、どれくらいが普通なんですか?」
田村が聞いた。
「そうだな…まあ、E~Cってところだろう。」
「ここに手を乗せて、力を発動するイメージ。やってみてくれ。」
斎藤が教えていた。
「こうかな…?」
【キタヤマケント 融合型 火 クラス B 年齢 13 能力限界値 90】
「えっと…これって?」
相葉と斎藤は驚いた表情をしている。それもそうだろう。この年齢でランクはBなのだから。
「先生、能力限界値って何ですか?」
源が聞いた。
「ああ、能力限界値ってのは、どれだけ能力限界を発動できるか、そのパーセンテージを表す。MAXは100だな。」
「この年齢でここまでとはな…先が楽しみだ。」
「どんどんやってみろ。」
【アケミチショウタロウ 武器型 風 クラス E 年齢 12 能力限界値 50】
【ミトアイ 武器型 水 クラス C 年齢 12 能力限界値 70】
【ホンダミサト 武器型 風 クラス D 年齢 12 能力限界値 60】
【マチダミノル 特殊型 闇 クラス C 年齢 12 能力限界値 65】
【シライカオル 武器型 水 クラス D 年齢 13 能力限界値 65】
【タムラユミ 武器型 風 クラス C 年齢 12 能力限界値 75】
【ミナモトミツキ 召還型 クラス C 年齢 12 能力限界値 80】
【ミナミタニカズキ 特殊型 クラス B 年齢 12 能力限界値 85】
【カトウゲンキ 武器型 クラス B 年齢 12 能力限界値 90】
「おいおい…お前のクラスすごいな。」
「俺もここまでとは思ってなかったさ。」
「先生はちなみにどれくらいですか?」
「おれは…」
【アイバユウジ 武器型 風 クラス A 年齢 27 能力限界値 95】
「こんなところだ。」
「すごいですね…」
「おっと、そろそろかえらなきゃな。」
「え~もう少し見学していたいですよ~」
「そうは言ってもな…一応、学校へのバスは出ている。お前達だけで帰れるか?」
「大丈夫です、先生。」
「……不安だから、サンクリーから一人つけてくれ。こいつらを見るだけだから、未来(さき)一人で十分だろ。」
「そうだな。」
「ちょっと、子守ってどういう事よ。」
「お前子供好きだろ。」
「そ、そんなことないってば!」
「じゃあよろしくな~」
「もぉ…あ、私、片平未来(さき)。よろしく。サキでいいわ。」
「よろしく、サキさん。」
相葉はバスを見送り、一息ついた。そして斎藤が話す。
「お前……加減したな?」
「まあな。」
「Sクラスの5人のうちの一人だと、伝えてないのか?」
「無論だ。まだ教えるわけにはいかないからな。」
「そのうち知ることになると思うが…まあお前がそれでいいならそれでいいのだろう。」
「この時間は、力について、勉強してもらう。」
相葉は唐突に言った。
そして続けた。
「俺たちが持っている力は、使い方によって、良くも悪くもなる。それはわかるな?そして、俺はお前達にその力をよい方向に使ってもらえるよう願う。」
「先生、悪い方向に使った場合はどうするんですか?」
明道が言った。
「うーん…まあ俺がぶった切る…かな」
「ガクガクブルブル((((;゚д゚)))))」
「冗談だ、冗談。それじゃ、話を続ける。俺たちの持つ力とは何か、説明できるか?」
全員が顔を横に振った。
「そもそも、俺たちの力の源は精神力だ。言ってしまえば、それぞれの心の持ちようだな。心が強ければ、その分力も強くなれる。しかし、心が砕けてしまえば、精神力が無くなり、力は使えなくなってしまう。そのショックは相当なものだろう。」
全員は熱心に話を聞いている。
「まあ、つまりはこういう事だ。心が強ければ、精神力が強くなる。精神力が強ければ、力も強くなる。」
全員はなるほどと言ったような顔をした。
「ちなみに、アビリティ・フォース…つまり俺たちの力には、それぞれランクがある。」
「ランク?」
北山が即座に聞いた。
「そうだ。一番上から、S,A,B,C,D,E級…となる。S級の能力者は、未だに5人しか見つかっていない。C級能力者が一番多いな。S級にはそれぞれ呼び名があるらしいが、警察側の上の方の奴らしか知らん。そいつらの所在も不明だ。」
「会ってみたいな…その能力者達に。」
「せいぜい頑張れ。」
北山と加藤が言った。
「ところで、俺たちの力には、限界値というものが存在する。E級でも、S級でも、それぞれのランクにあった限界値だ。限界に達すると、能力の属性、そして能力自体の最高の力が引き出される。属性の発動の仕方はそれぞれ一緒。だが、能力の限界発動はそれぞれ姿が違う。各々が精進すればきっと限界値には達せるはず。」
「先生、クラスはどうやったらわかるんですか?」
水戸が聞いた。
「そうだな、警察にその類の物がある。伍時間目に行ってみるか?」
「お願いいたします。」
「よし、じゃあここまで。」
四時間目が終わった。
休み時間。
北山健人は、相葉裕次のところへ行っていた。
「先生、先生は何で先生になりたいと思ったの?」
「そうだな…強いて言うならこれしか無かったから…かな」
「?」
「俺たちアビリティ・フォースを持っている人間は普通の社会では生きていけないだろう?迫害されるだけだ。なら、この職業か警察の特殊部隊、HOLYに入るしかないだろう。または、世界を彷徨うか…だ。自ずとこういう職業になるさ。」
「ふーん…」
「んで、今日は何を話しに来た?本当の質問はそれじゃないだろう?」
相葉は見透かしたように言った。
「うん…実は俺の生い立ちのことなんだけど…」
「俺は他人の生い立ちには興味はない。まあ、聞くだけ聞いてやろう。」
北山は咳払いを一つし、話を始めた。
「俺の本当の家庭はとても裕福で、今も豪邸を構えているらしい。俺の能力は0歳児の頃から備わっていたんだ…だけど、親は俺の能力を忌み嫌った。0歳なのに、生まれてすぐ、本当の親ではない人の元に送られた。物心ついたのは5歳くらい。俺は育ての親にも嫌われていたから、その場所を離れた。だが、頼れる人たちは誰もいない。食料もない。水は川を探して何とかなったけど、食料は魚を捕ろうにも5歳児だから、とれやしない。そんなとき、一人の男が現れて、この場所を教えてくれた。今まで何回能力を使ったか覚えていない……能力を持っているという理由だけで、チンピラに絡まれたこともあった。このバンダナは、その男にもらったもので、それまでは地面やコンクリートを媒体にして能力を使っていた。」
「で、何が言いたい?」
相葉は率直な意見を述べた。
「俺の将来の夢…」
「ほう。で、決めたのか。」
「うん…俺の夢は、この能力で、理不尽な戦いや、虐げられている人たちを救うこと。全員を救うことはできないけれど、目の前にいる人々を救いたい。クラス対抗戦もあるんだろう?俺の夢を叶えるため、俺を…強くしてくれ、いや、強く…してください。先生。」
「いやだね。」
相葉は続けた。
「お前の夢?俺には関係ない。お前はお前の道を進むんだ。俺は、俺の道だ。しかしだな、俺も一人の人間だ。お前の痛みは痛いほどわかる。強くしろ…というのは率直過ぎやしないか。いずれ、お前達10人には強くなってもらうため、俺がみっちりと鍛えてやる。今は我慢しろ。俺と戦う機会もいずれある。」
「………わかったよ、先生………」
「そうだ、言い忘れてた。俺もお前よりずっと辛い生い立ちだから。お前の気持ちなんて俺とほとんど一緒だろう。それだけは言っておくぞ。」
「はい。」
北山は教室に帰っていった。
北山が職員室を出た後で、相葉はこう思っていた。
「ふう…あいつには、俺と同じ思いだけはさせたくないな…」
「始めるぞ。まずは田村由美。」
「はい。」
相葉が呼ぶと同時に、ペンダントをつけ、髪の毛がハネている女の子が出てくる。
「私の能力は…っと。」
そういって、彼女はペンダントから青い光を出した。
彼女の能力は、弓を使う様である。
彼女は、練習台に向かって6本の弓矢を発射した。それぞれ光があったが、光の色が違った。
「属性を6つ全て使えるのか。すごいな。」
「ありがとうございます、先生。」
田村は礼をした。
「次、源美月。」
「はーい。」
眠そうにしている女の子だ。だが、性格は明るそうである。髪の毛はヘアピンで一ヶ所をまとめている。
「ふぅ…」
彼女はため息を一つつくと、天井の明かりから黄色い光を出した。
すると、彼女の前に、精霊のような物ができあがっていた。
「光を媒体にしているのか。」
そう相葉が聞くと、源は、
「です。まぁ、暗いところでは使えませんし、私自身この子の能力を完璧に理解しているわけではありません。」
と、少し笑い気味に言った。
「最後、加藤元基。」
「ういーっす。」
いかにもだるそうな男の子が出てきた。
彼は何も言わず、耳についているイヤリングから、青い光を出した。
すると、彼の右腕に融合型のような物がつき、大きい斧が出てきた。
「こんな感じですかね。」
「ふむ、なるほどな。よし、この時間はみんなに属性について勉強してもらう。」
「属性……ですか?」
北山が言った。
「そうだ。まず、それぞれの能力を発動してみろ。」
全員が能力を発動させた。
「そうして、強い力を込めろ。そうすれば自ずと属性はわかるはずだ。」
白井と水戸は、青色の光に体を覆われた。
同じく、明道と本田は緑色、
南谷と源は白、
北山は赤、
加藤は黄色、
町田は黒、
そして田村は虹色である。
「よくわかるだろう。青色は水属性、緑色は風属性、白は光属性、赤は火属性、黄色は雷属性、黒は闇属性、虹色は全て…ということだ。無論、全てではないが複数の属性を持つ者も存在する。その場合は混合色になる。光と水なら水色…という様にな。」
「へぇー」
明道が多大な関心を示す。
「そして、属性にも相性がある。火は風に、風は雷に、雷は水に、水は火に、それぞれ強い。対して、風は火に、火は水に、水は雷に、雷は風にそれぞれ弱くなる。光と闇はお互いに強くもあり弱くもある。」
「なんか…拍子抜けね。水属性ってそのまんまじゃない。私の能力。」
水戸が言った。
「火か~なんか強そうだな!気に入ったぜ。」
と、北山。
「全ての属性が使えるって便利だね。」
「そ、そうかな…」
源と田村。
「各々が精進すれば、きっと良い結果が生まれるはず。よし、教室に戻るぞ。」
相葉が言った。
A組の十人は教室に戻った。