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「この時間は、力について、勉強してもらう。」
相葉は唐突に言った。
そして続けた。
「俺たちが持っている力は、使い方によって、良くも悪くもなる。それはわかるな?そして、俺はお前達にその力をよい方向に使ってもらえるよう願う。」
「先生、悪い方向に使った場合はどうするんですか?」
明道が言った。
「うーん…まあ俺がぶった切る…かな」
「ガクガクブルブル((((;゚д゚)))))」
「冗談だ、冗談。それじゃ、話を続ける。俺たちの持つ力とは何か、説明できるか?」
全員が顔を横に振った。
「そもそも、俺たちの力の源は精神力だ。言ってしまえば、それぞれの心の持ちようだな。心が強ければ、その分力も強くなれる。しかし、心が砕けてしまえば、精神力が無くなり、力は使えなくなってしまう。そのショックは相当なものだろう。」
全員は熱心に話を聞いている。
「まあ、つまりはこういう事だ。心が強ければ、精神力が強くなる。精神力が強ければ、力も強くなる。」
全員はなるほどと言ったような顔をした。
「ちなみに、アビリティ・フォース…つまり俺たちの力には、それぞれランクがある。」
「ランク?」
北山が即座に聞いた。
「そうだ。一番上から、S,A,B,C,D,E級…となる。S級の能力者は、未だに5人しか見つかっていない。C級能力者が一番多いな。S級にはそれぞれ呼び名があるらしいが、警察側の上の方の奴らしか知らん。そいつらの所在も不明だ。」
「会ってみたいな…その能力者達に。」
「せいぜい頑張れ。」
北山と加藤が言った。
「ところで、俺たちの力には、限界値というものが存在する。E級でも、S級でも、それぞれのランクにあった限界値だ。限界に達すると、能力の属性、そして能力自体の最高の力が引き出される。属性の発動の仕方はそれぞれ一緒。だが、能力の限界発動はそれぞれ姿が違う。各々が精進すればきっと限界値には達せるはず。」
「先生、クラスはどうやったらわかるんですか?」
水戸が聞いた。
「そうだな、警察にその類の物がある。伍時間目に行ってみるか?」
「お願いいたします。」
「よし、じゃあここまで。」
四時間目が終わった。
休み時間。
北山健人は、相葉裕次のところへ行っていた。
「先生、先生は何で先生になりたいと思ったの?」
「そうだな…強いて言うならこれしか無かったから…かな」
「?」
「俺たちアビリティ・フォースを持っている人間は普通の社会では生きていけないだろう?迫害されるだけだ。なら、この職業か警察の特殊部隊、HOLYに入るしかないだろう。または、世界を彷徨うか…だ。自ずとこういう職業になるさ。」
「ふーん…」
「んで、今日は何を話しに来た?本当の質問はそれじゃないだろう?」
相葉は見透かしたように言った。
「うん…実は俺の生い立ちのことなんだけど…」
「俺は他人の生い立ちには興味はない。まあ、聞くだけ聞いてやろう。」
北山は咳払いを一つし、話を始めた。
「俺の本当の家庭はとても裕福で、今も豪邸を構えているらしい。俺の能力は0歳児の頃から備わっていたんだ…だけど、親は俺の能力を忌み嫌った。0歳なのに、生まれてすぐ、本当の親ではない人の元に送られた。物心ついたのは5歳くらい。俺は育ての親にも嫌われていたから、その場所を離れた。だが、頼れる人たちは誰もいない。食料もない。水は川を探して何とかなったけど、食料は魚を捕ろうにも5歳児だから、とれやしない。そんなとき、一人の男が現れて、この場所を教えてくれた。今まで何回能力を使ったか覚えていない……能力を持っているという理由だけで、チンピラに絡まれたこともあった。このバンダナは、その男にもらったもので、それまでは地面やコンクリートを媒体にして能力を使っていた。」
「で、何が言いたい?」
相葉は率直な意見を述べた。
「俺の将来の夢…」
「ほう。で、決めたのか。」
「うん…俺の夢は、この能力で、理不尽な戦いや、虐げられている人たちを救うこと。全員を救うことはできないけれど、目の前にいる人々を救いたい。クラス対抗戦もあるんだろう?俺の夢を叶えるため、俺を…強くしてくれ、いや、強く…してください。先生。」
「いやだね。」
相葉は続けた。
「お前の夢?俺には関係ない。お前はお前の道を進むんだ。俺は、俺の道だ。しかしだな、俺も一人の人間だ。お前の痛みは痛いほどわかる。強くしろ…というのは率直過ぎやしないか。いずれ、お前達10人には強くなってもらうため、俺がみっちりと鍛えてやる。今は我慢しろ。俺と戦う機会もいずれある。」
「………わかったよ、先生………」
「そうだ、言い忘れてた。俺もお前よりずっと辛い生い立ちだから。お前の気持ちなんて俺とほとんど一緒だろう。それだけは言っておくぞ。」
「はい。」
北山は教室に帰っていった。
北山が職員室を出た後で、相葉はこう思っていた。
「ふう…あいつには、俺と同じ思いだけはさせたくないな…」
「始めるぞ。まずは田村由美。」
「はい。」
相葉が呼ぶと同時に、ペンダントをつけ、髪の毛がハネている女の子が出てくる。
「私の能力は…っと。」
そういって、彼女はペンダントから青い光を出した。
彼女の能力は、弓を使う様である。
彼女は、練習台に向かって6本の弓矢を発射した。それぞれ光があったが、光の色が違った。
「属性を6つ全て使えるのか。すごいな。」
「ありがとうございます、先生。」
田村は礼をした。
「次、源美月。」
「はーい。」
眠そうにしている女の子だ。だが、性格は明るそうである。髪の毛はヘアピンで一ヶ所をまとめている。
「ふぅ…」
彼女はため息を一つつくと、天井の明かりから黄色い光を出した。
すると、彼女の前に、精霊のような物ができあがっていた。
「光を媒体にしているのか。」
そう相葉が聞くと、源は、
「です。まぁ、暗いところでは使えませんし、私自身この子の能力を完璧に理解しているわけではありません。」
と、少し笑い気味に言った。
「最後、加藤元基。」
「ういーっす。」
いかにもだるそうな男の子が出てきた。
彼は何も言わず、耳についているイヤリングから、青い光を出した。
すると、彼の右腕に融合型のような物がつき、大きい斧が出てきた。
「こんな感じですかね。」
「ふむ、なるほどな。よし、この時間はみんなに属性について勉強してもらう。」
「属性……ですか?」
北山が言った。
「そうだ。まず、それぞれの能力を発動してみろ。」
全員が能力を発動させた。
「そうして、強い力を込めろ。そうすれば自ずと属性はわかるはずだ。」
白井と水戸は、青色の光に体を覆われた。
同じく、明道と本田は緑色、
南谷と源は白、
北山は赤、
加藤は黄色、
町田は黒、
そして田村は虹色である。
「よくわかるだろう。青色は水属性、緑色は風属性、白は光属性、赤は火属性、黄色は雷属性、黒は闇属性、虹色は全て…ということだ。無論、全てではないが複数の属性を持つ者も存在する。その場合は混合色になる。光と水なら水色…という様にな。」
「へぇー」
明道が多大な関心を示す。
「そして、属性にも相性がある。火は風に、風は雷に、雷は水に、水は火に、それぞれ強い。対して、風は火に、火は水に、水は雷に、雷は風にそれぞれ弱くなる。光と闇はお互いに強くもあり弱くもある。」
「なんか…拍子抜けね。水属性ってそのまんまじゃない。私の能力。」
水戸が言った。
「火か~なんか強そうだな!気に入ったぜ。」
と、北山。
「全ての属性が使えるって便利だね。」
「そ、そうかな…」
源と田村。
「各々が精進すれば、きっと良い結果が生まれるはず。よし、教室に戻るぞ。」
相葉が言った。
A組の十人は教室に戻った。
チャイムが鳴る。二時限目の授業だ。
相葉が施設に戻り、Aクラスのメンバーは集合した。
「よし、じゃぁ一時間目と同じ内容で、まだやってない奴は見せてくれ。立候補がないんなら、こちらからの指名でやるぞ?」
「あ、俺やる。」
そういったのは北山健人。バンダナをかぶり、そこから少しばかりの髪が覗かせる。
「うっし、みてろぉ…」
そういうと、彼のバンダナと右腕が消え、赤く光った。
彼の右腕には、新たな腕ができていた。
彼は一つのトレーニング用模型を殴って見せた。破壊力は抜群で、模型は粉々に砕け散った。
「融合型……か。めずらしいな。」
「どーも。」
その後、立候補がいなかったので、相葉が指名することにした。
まず指名されたのは、白井香(しらいかおる)。おとなしそうな子で、髪の毛はたとえるなら雪代巴のような髪をしている。ただし後ろ髪は巴より短い。
彼女の能力は、彼女がつけているリストバンドから青い光を出し、盾を作ることである。この盾は術者が解かない限り、誰でも装備可能らしい。
「よし、わかった。じゃぁ次、町田、やってみろ」
「………はい。」
町田実(まちだみのる)は、影の薄い様な子だが、髪の毛はツンツンで前髪の長い部分が少し降りているくらいである。
彼は、あたりを緑色に光らせた。しかし、みんなは何が起こったのか全くわからずにいた。
「おーい」
相葉はそう叫んだ。が、自分の声が全く聞こえないのに気がついた。
(……まさか)
そう思うと、もう一度あたりが緑色に光り、音がするようになった。
「特殊型…か。どれくらい音をなくせる?」
「……10秒くらいです…」
「媒体は?」
「…空気……」
「なるほど。よし次、南谷一輝(みなみたにかずき)。」
「はい。」
彼の髪型はあまり特徴的ではない。筆者が後に載せる画像を見た方が早いだろう。
彼もまた、緑色の光を出した。右腕から光が出て、体全体を覆っている。
「先生、誰かの能力を出させていただけますか?」
「じゃぁ俺が出す。」
そういったのは北山。
「驚かないでね……」
そういうと南谷は、左腕で北山の能力に触った。するとどうだろう。北山の能力が消えたではないか。
「うぉぉっ?」
「すごいものを持っている……これも特殊型だろう。」
「何か物に触りながらでも伝達できますよ。やってる間は右腕がなくなりますけど。」
「次、本田美郷(ほんだみさと)。」
「はーい」
本田は、▽の眼鏡をかけていて、左右に髪留めをして髪を束ねている。後ろではポニーテールの様に髪を結んでいる。
本田が髪の後ろの髪留めから、青い光を出した。その後、彼女の後ろに蝶の様な羽ができた。
その羽で飛んでも見せた。
「装備型か、よし、次……」
「先生、そろそろ装備型とか教えてくれよー。」
そういったのは明道。
「そうだな…そろそろ教えてやるか。後の奴らは今度また見せてもらうぞ。」
「はーい」
「まず始めに、光と型の関係について知っておけ。青い光が装備型、赤い光が融合型、緑の光が特殊型、だが、黄色い光を出す召還型というのもある。これは基本中の基本だからな、しっかり覚えておけ。」
「先生は何型ですか~?」
「俺か?俺はな…」
そういって、相葉はマッチを取り出し、青い光を出した。
「これも装備型に分類される。」
彼が出したのは、双刀。それに、鎧のような手袋と機械の様な靴が装着されている。
彼の双刀は、逆刃刀と真剣の二つのもの。
「人前で見せるもんじゃないがな…」
「すげぇじゃん、先生。」
と、明道
「俺一度戦ってみて~」
と、北山。
「まぁ、機会があればいつでも相手してやるさ。」
そういって彼が能力を解いたと同時に、二時間目終了のチャイムが鳴る。
「んじゃぁまた三時間目にここに集合な。」
この作者が死んでいるくらい未来に、人間の他の人間に対しての戦争が活発になってきた。
そして、一番科学技術の進んでいた日本で、ある発明が成された。
その発明とは、何か物を媒体とし、他の物質に変える、というものである。
無論、それなりの代償は必然だった。
その代償もあってか、ある解明ができた。
その能力を使えるのは、「適合」できた一部の人間であることで、
日本政府は適合者の割合を高めるため、いろいろな工夫をした。
そして、実験を繰り返した。
そのうちに、生まれてくる赤子が、その能力を備えるようになっていた。
その能力の名は、「アビリティ・フォース」
(漫画とかだったらここで表紙はいるよね)
能力「アビリティ・フォース」を有効に使うため、また、その能力がどのような効果を持っているかを確かめるため、それ専用の学校ができた。
また、出生時に能力が無くても、15歳までに能力が発現する可能性があるとされ、
能力が発現した者は直ちにそこへ移校された。
ただし、能力が使える以前に、基本的な社会知識を学ばせるため、能力の教育は中学校からである。
能力学校は、小学校、中学校一貫教育である。
小学校で能力を使う者がいないよう、それ専用の警察組織「GUARD」が一人見張っている。
だが、能力が発現する者はきわめて少なく、学校も東京に一つあるだけである。
クラスは各学年10人クラスが二つ。定期ごとにクラス対抗戦をやっている。学年は全学年合同。
そしてこの物語は、中学1年A組の物語…
キーンコーンカーンコン
一時間目のチャイムが鳴る。
「起立。」
そういったのは、このクラスの学級委員長、水戸愛。ウェーブがかかっている、少しピンクがかっている様な赤い髪をしている。
「うっし、じゃぁ授業始めるか。これが初めての授業だよな?」
この先生は相葉裕次。このクラスの担任である。この学校では先生も能力を持たなければいけないため、
各クラスの担任が授業をする役割を担っている。
「そうです、先生。」
水戸が言った。
「まぁまぁそんなに堅くなるな。まずは自己紹介だ。俺の名前は相葉裕次。今日からこのクラスの担任となった。みんなよろしくな。んでまぁ早速なんだが、それぞれの自己紹介をしてもらおう。」
そういうと、名前順でそれぞれが自己紹介をしていった。
「よし…だいたいはわかった。次に、能力を見せてもらおう。みんな、来てくれ。」
そういうと、相葉は能力練習場に連れて行った。この学校では自由に能力の練習ができる施設がある。
「んじゃーやってみてくれ。自信のあるやつからでもいいぞ。」
「じゃぁ私やります。」
水戸が言った。
「さすが学級委員長、積極的じゃないか。」
彼女の媒体は、手につけている手袋。
その手袋が蒼色の光を放ち消え、オーブのような物体になった。
「私の能力は……」
といいながら、練習用の人型模型に向かって放った。
彼女の能力は水を出すことらしい。
「武器系か…良い物を持っている。」
「ありがとうございます。」
そういうと彼女はオーブを手袋に戻した。
「武器系?なんですかそれ?」
そう聞いたのは、明道正太郎(あけみちしょうたろう)だった。
彼は、髪がまっぷたつに分かれている。まるで触覚のようだ。後ろ髪は割と長い。
「まぁ、おいおい説明するさ…で、お前の能力は?」
相葉が聞いた。
「じゃぁ見ててください。」
そういうと、彼の両目が蒼色に光った。と、同時に、何が変化したのか誰もわからなかった。
「先生、BB弾の銃とかあります?」
そう聞いた相葉は、本物の銃を持ってきて、使うように謂った。
「んじゃぁ見ててください。」
そういって彼は、100mは先の的に狙いを定めた。
彼は銃の弾を6発全て撃ちきった。
「先生、見てきてください。」
相葉が的になっていた紙をとってきた。すると。
「なぁ…6発撃ったんだよな?」
「ええ、6発撃ちました。」
「真ん中に一つしか穴が開いていないぞ?」
「まぁ、6発全部同じ場所に当てましたから…」
そういうと、明道は相葉に自分の目を見るように謂った。
「これが、僕の能力です。コンタクトを媒介に、スコープを作るんです。」
「なるほどな……」
キーンコーンカーンコン
「おっと、チャイムか。次の時間もこれと同じような授業するから、ここで自由に遊んでいてくれ。俺は次の時間になったら戻る。」
そういって相葉は職員室に戻っていった。